2021.10.13
正しいシロアリの駆除と対策|自分で退治する方法と対策法とは?
シロアリの駆除や退治が必要になったら、どのような行動をとればいいのでしょうか。シロアリは、住宅に大きなダメージを与えるため、見つけたら早急に駆除をする必要があります。
この記事では、自分でできるシロアリの駆除方法を解説します。シロアリに悩んでいる人はもちろん、予防策を知りたい人もしっかりとチェックしておきましょう。
シロアリとはこんな生き物!
シロアリは倒木などを分解して土に還す、自然界には欠かせない益虫です。しかし、木材を食べてしまうシロアリの生態が住宅ダメージを与えてしまうことから、人間にとっては害虫だと認識されています。
シロアリ対策をするためには、そもそもシロアリがどのような生き物でどのような特徴を持っているかを知っておく必要があります。ここでは、シロアリという生き物について詳しく見ていきましょう。
シロアリの生態
シロアリとは、白色もしくは黄白色の体を持った昆虫です。「シロアリ」という名前がついていますが、実際はハチの仲間であるアリとは別の生き物で、ゴキブリの仲間に分類されます。見た目は黒アリが白くなった個体に見えますが、黒アリはシロアリを捕食するため、シロアリにとって黒アリは天敵となります。
女王アリを中心に繁殖する黒アリに対し、シロアリは女王と王のペアを中心として繁殖する点が特徴です。コロニーと呼ばれるシロアリの巣(群れ)のようなものがある程度大きくなると「ニンフ」と呼ばれる階級のシロアリが繁殖し、羽アリになって飛び立ち、着地した先で雌雄のペアになって新しいコロニーを作って増殖してしまいます。
建物を構築する木材や断熱材を餌とするため、住宅やその付近で繁殖してしまうと建物の寿命に関わってきます。木造建築の住宅にとって、シロアリは大きな脅威なのです。
シロアリの特徴
シロアリには、黒アリとは異なる特徴がいくつかあります。シロアリの特徴を、黒アリと比較しながら見てみましょう。
黒アリ | シロアリ | |
生物分類 | ハチの仲間 | ゴキブリの仲間 |
餌の食べ方 | 食べカスなどを運び出して食べる | 住宅の木材や断熱材を食べる |
触覚 | L字型 | 球体がまっすぐ連なっている |
胴体 | くびれがある | 寸胴 |
羽の大きさ | 後ろの羽が小さめ | すべての羽が同じ大きさ |
このように似ているように思われるシロアリと黒アリですが、しっかりと観察してみると、それぞれに異なった特徴があることがわかります。
もしもシロアリの特徴に当てはまる昆虫を周辺で見かけた場合は、住宅に被害が出ていないかしっかりと点検しておきましょう。
被害を与えるシロアリの種類
シロアリにはさまざまな種類がありますが、日本に生息していて住宅に被害を与えるシロアリは大きく2つに分類できます。ここでは、それぞれのシロアリの特徴を簡単に説明します。
イエシロアリ | ヤマトシロアリ | |
体長 | 7.4~9.4mm程度 | 4.5~7.5mm程度 |
羽アリの飛翔時期 | 6~7月の夕方 | 4~5月の日中 |
頭の形 | 卵型 | 長方形に近い |
見た目 | ・黄褐色 ・半透明または淡黄色の羽 |
・黒褐色で前胸背板が黄色 ・半透明または淡黒色の羽 |
生息地域 | 中部地方以西の太平洋側 | 北海道を除く日本全土 |
被害に遭いやすい場所 | ・床下や地下 ・側溝 ・屋根裏 |
・水回りの床下 ・朽木や腐った木材 |
巣の特徴 | 塊状の大きい巣 | 餌場に住み着く |
シロアリの種類によって、被害に遭いやすい場所が異なるため注意しましょう。種類を見分けて被害に遭いやすい場所を点検したり罠を仕掛けたりすれば、より高い駆除効果が得られます。
また、近年は外来種のアメリカカンザイシロアリの被害が報告されるようになりました。アメリカカンザイシロアリは乾いた木を好み、2mm程度の穴を開けて周囲に粒状の糞をします。こういった状態の木材を発見した場合も、早めの駆除が必要になります。
シロアリによる代表的な被害
シロアリが住宅にとって危険な存在であることは、何となく知っている人が多いかもしれません。しかし、シロアリの具体的な被害について理解していないと、住宅が危険にさらされているときに正しい対処ができなくなってしまいます。
そこで、ここからはシロアリの代表的な被害について紹介します。ひとつでも心当たりがあるときは、すぐにでも住宅の点検を行うようにしましょう。
床がきしむ、沈むようになってきた
シロアリは、住宅を構成している木材を食べてしまいます。そのため、床材などを食べられてしまった場合、その部分を踏むと「キシキシ」と音がしたり床が沈んだりしてしまうのです。被害が進行すると、床を踏み抜いてしまうこともあるため注意が必要です。
柱などの木材に亀裂が見られる
シロアリは、住宅を支える柱や壁などの木材も食べてしまいます。こういった木材に心当たりのない亀裂が生じている場合、シロアリによる食害に遭っている可能性が高いため気をつけましょう。
亀裂が入っている部分を指でコンコンと叩いて軽い音が響く場合、シロアリに食べられている可能性が高いです。
壁紙や天井に雨漏れや黒ずみ・しみなどが見られる
壁紙や天井に雨漏れや黒ずみ、しみが発生している場合、シロアリに木材を食べられてしまい、内部に雨水が侵入している可能性が高いです。放っておくと木材が腐ったり壁紙が剥がれたりといった二次被害に発展してしまうため、すぐにでも対処する必要があります。
ここまで被害が進行してしまうと、シロアリの駆除だけではなく住宅の修繕にも多額の費用がかかってしまいます。定期的に住宅の点検とシロアリ対策を行い、住宅に大きな被害が出ないように対策することが肝心なのです。
ほかにもこんなことがあったらシロアリに注意!
ほかにも、以下のようなことがあったらシロアリがいるサインかもしれません。
- 羽アリを目撃した
- 蟻道を発見した
- 木の表面に穴が空いていて中が食べられている
- 床に木くずやコロコロとしたフンが落ちている
- 部屋の隅に羽のようなものが落ちている
心当たりがある場合は、念のため以下で紹介する駆除法を実行しておくと安心でしょう。
シロアリが目の前にいたときのNG行動とおすすめの駆除方法
シロアリを見つけたらどのような行動をとればいいのでしょうか。じつは、シロアリ駆除には行ってはいけないNG行動があります。この章では、やってはいけない行動と正しい対処法を紹介します。
殺虫剤(市販のスプレー)は使用しない
シロアリを目にしたとき、つい殺虫剤を使いたくなってしまう人は多いでしょう。しかし、シロアリに殺虫剤を使うことは避けてください。なぜなら殺虫剤の効果は一時的であり、目に見えないシロアリには効果が低いためです。
殺虫剤がかかったシロアリは退治できますが、ほかのシロアリは警戒心を抱き、さまざまな場所へ逃げてしまいます。その結果、逃げた先で新しく巣を作られてしまい、被害が拡大してしまう恐れがあるのです。
シロアリを駆除するときは、一般的なスプレータイプの殺虫剤はもちろんのこと、バルサンのようなくん煙剤タイプの薬剤も避けましょう。
シロアリは掃除機で吸い取り捨てる
シロアリを見つけたときは、掃除機で吸い込んで通常のゴミと一緒に捨てる退治方法がおすすめです。シロアリはデリケートな生き物であるため、掃除機で吸われた衝撃で死滅します。
警戒されずにまとめて処理できるため、掃除機による退治は非常に有効です。吸い上げたシロアリは、そのまま可燃ゴミとして処分しましょう。
シロアリの駆除方法
シロアリを見つけたときは掃除機で吸うことで退治できますが、この方法は一時的な効果しかありません。なぜならシロアリは数千~数万匹のコロニーを作っており、目に見えていて退治できる個体はほんのわずかであるためです。
それでは、どのように対処すればシロアリをしっかりと駆除できるのでしょうか。ここからは、詳しい駆除方法について解説します。
駆除用の道具を準備
シロアリを駆除する前に、まずは駆除用の道具を用意してください。用意しておきたいのは、以下のような道具です。
作業着 | 天井裏や床下に潜ったときに汚れてもいい上着や長ズボンなどを用意する。害虫や害獣の糞や病原菌から身を守るためにも、厚手のものがおすすめ。 |
ゴーグル・マスク | 薬剤やホコリ、汚れなどから身を守るために、必ず防じんマスクや害虫駆除用のゴーグルを装着する。それぞれ1,000円台から購入可能。 |
軍手・手袋 | シロアリ駆除の際は、怪我を防ぐために軍手や手袋を装着する。手首までの長さがあるものならば安心。1,000円前後で購入可能。 |
室内を保護するシート | 床下などに薬剤を散布するときは、周辺が汚れたりニオイが飛散したりしないように養生シートやビニールシートを取り付ける。サイズによって1,000~5,000円程度で購入可能。 |
このほか、必要に応じて懐中電灯やヘッドライトを用意しましょう。薬剤を吸い込んで体調が悪くなることも考えられるので、携帯電話を持参し不足の事態に備えておくことも大切です。
状況にあった方法で駆除をする
シロアリの駆除方法には、「ベイト工法」と「バリア工法」の2種類の方法があります。どちらの薬剤もホームセンターなどで入手可能なので、ご自宅の状況にあった駆除方法を実施しましょう。
<ベイト工法(毒餌)>
◎費用:5,000~1万円
シロアリの脱皮を抑制する成分が配合された毒餌を家の周辺に設置し、食べさせることで駆除する方法です。脱皮しない哺乳類には影響がないため、子どもやペットがいるご家庭でも安心してシロアリ駆除ができます。
駆除方法は、ベイト材が入った容器を基礎から20~30cmほど離れた場所に埋め込み、1~2か月ごとに餌を補充するだけです。シロアリは餌を巣へ持ち帰るため即効性はありませんが、巣に潜むシロアリまで駆除することができます。1回の駆除で終わりにするのではなく、継続的に行なうことでしっかりとシロアリを退治できます。
<バリア工法>
◎費用:1万5,000円
バリア工法は、薬剤を散布してシロアリを駆除する方法です。住宅や土壌に直接薬剤を散布するため即効性はありますが、薬剤が飛散するため子どもやペットが居るご家庭には向いていません。
まずはシロアリの被害箇所にドリルで穴を開け、薬剤を注入します。その後、木材の表面やシロアリの活動範囲・土壌に薬剤を散布します。薬剤を吸い込むと非常に危険なので、施工時は十分に気をつけてください。
床下に入り、シロアリの侵入をバリアする
シロアリの被害はさまざまな場所で生じますが、多くの場合、侵入経路は床下です。そのため、しっかりとシロアリ対策をしたいのであれば、床下に入って侵入経路を遮断する必要があります。
床下に入れるようであれば、蟻道を見つけて念入りに薬剤を散布したうえで侵入経路をふさいでおきます。侵入経路別の対策方法は、以下のとおりです。
- 基礎と床下の金枠:モルタルをかぶせる
- 基礎と玄関框の接続部:土壌に薬剤を散布し、木材を土壌に触れさせないようにする
- 外壁:コーキングを行い、土壌に薬剤を散布する
このように、シロアリ駆除をするときは準備するものが多く、知識がない人が自分でやるのは時間と労力がかかります。せっかく費用をかけてシロアリ駆除をしても、効果が得られずに被害が進行してしまう恐れも少なくはありません。
そのため、少しでも不安を感じた場合はプロに依頼することがおすすめです。
確実に駆除したいならプロに任せるのがおすすめ
シロアリは自分で駆除することもできますが、先述のように知識と経験のない人が完全に駆除しきるのは難しいものです。
シロアリの多くは目に見えない場所に潜んでおり、薬剤の設置・散布作業は労力がかかります。間違った駆除を行ってしまうとコロニーごと移動されてしまい、さらに駆除が面倒になってしまうケースもあるため、しっかりと駆除をしたいのであれば業者に任せたほうが安心でしょう。
プロの業者に依頼するときの費用は、1坪あたり8,000円~1万円程度が相場になります。30坪の一軒家であれば、24~30万円が施工費の相場となるでしょう。
費用はかかりますが、シロアリを完全に駆除できるだけではなく5年間の保証をつけてもらうこともできるため、長期間住宅を守る効果が得られます。業者に依頼するべきかお悩みの場合は、まずは見積りを依頼してみて、DIYにするか業者に依頼するか決めてみてもいいでしょう。
自分でできるシロアリの予防法は!?
シロアリの駆除には手間と危険が伴うため、シロアリが住みつかないように日頃から予防することが肝心です。シロアリは、簡単にできる3つのポイントを意識することで予防できます
以下では、自分でできるシロアリの予防法を紹介します。
1.木材を家の周りに置かないようにする
シロアリは木を餌とする生き物であるため、家の周りに木材を置くことは絶対に避けましょう。また、新聞・古本なども原料は木なので、家の周辺に紙類を置いている場合はすぐに撤去してください。
屋外には紙類も木材も置かないようにして、シロアリの餌となるものは徹底的に排除することを意識しましょう。
2.建物まわりの風通しと日当たりをよくする
シロアリはジメジメとした場所を好む性質を持っているため、建物の周りに湿気がたまらないように注意すると発生を予防できます。
- 通気口を塞がない
- ウッドデッキや縁側の下に物を置かない
- 防草シートを使って雑草対策をする
- 窓を開けてよく換気をする
- 壁面から少し離して家具を設置する
上記のような対策をすると、家全体の風通しや日当たりがよくなってシロアリが住みつきにくい環境になります。
3.シロアリの被害にあった杭などは抜く
生け垣を固定する杭などを使用していてシロアリ被害に遭っている場合は、その杭を処分しましょう。シロアリが餌場と認識して集まってしまうほか、内部をすみかにされてしまうケースもあります。早めに抜いて処分し、シロアリが餌場と認識するものは排除しておきましょう。
新築も注意!シロアリ予防は定期的にする必要がある
建築基準法施行令の第49条には、以下のように定められています。
「構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から一メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。」
引用:建築基準法施行令
このように新築物件を建築するときは、柱や土台に防蟻処理を行なうことが義務付けられています。したがって、「新築物件であればシロアリ被害に遭うことはない」と考えている人も多いかもしれません。
しかし、防蟻処理が行われた新築物件であっても、その効果は永久的なものではない点に注意しましょう。防蟻処理に使われる薬剤の効き目には期限があり、それ以降はいつシロアリ被害に遭ってもおかしくはありません。
新築物件だからと安心せず、定期的にシロアリ対策を実施することを推奨します。
新築についているシロアリ予防も効き目は5年が目安
新築物件で行われる防蟻処理の効き目は、一般的に建築から5年だといわれています。実際、新築物件を引き渡す際に業者から「保証期間は5年」と説明を受けた経験がある人も多いのではないでしょうか。
まれに10年保証の業者もありますが、薬剤の効き目が10年継続するわけではなく、5年目に点検や追加施工をすることで保証を延ばしているケースが多いため注意しましょう。
せっかくの新築物件が、築5年を経過してシロアリに食べられてボロボロになってしまってはもったいないものです。新築物件であっても、必ず5年ごとに防蟻処理を行ないましょう。
まとめ
シロアリは住宅の基礎や木材、断熱材などを食べてしまう害虫です。大切なマイホームを守るためにも、日頃からしっかりとシロアリ対策をしておきましょう。
シロアリには自分で退治することもできますが、知識や経験のない人が完全に駆除することは困難です。さらに、薬剤の散布や床下・天井に潜っての作業は危険が伴うため、DIYで施工することはおすすめできません。
住宅のリフォームなどを承っている大帝リビングでは、シロアリに関する悩みも受け付けています。現在お住まいの家でシロアリの被害に遭われている方は、ぜひ当社まで気軽にご相談ください。
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